「児童買春・児童ポルノ禁止法」とは
「児童買春・児童ポルノ禁止法」ってどんな法律?
平成11年、「児童買春、児童ポルノにかかる行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」が制定されました。
いわゆる「児童買春・児童ポルノ禁止法」では、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性を考え、また、児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童ポルノが規制されるとともに、これらにより心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を定めています。
刑法のわいせつ物規制との違いは?
ポルノについては、刑法上も、わいせつ物頒布等の罪として規制がされています。
刑法のわいせつ物頒布等の罪と児童ポルノ規制は、刑法上のわいせつ物に該当しない場合でも児童ポルノ規制上の児童ポルノに該当することがある点、刑法上のわいせつ物頒布等の罪を社会の善良な性風俗を保護する目的で制定されているのに対して、児童ポルノ規制は児童の心身の保護を目的としている点で異なっています。
規制の対象となる児童ポルノはどんなもの?
児童ポルノとは、「衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等もしくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」と定義されます。ここで、「児童」とは、18歳に満たない者をいいます。性別は問いません。
児童ポルノは、その制作の過程で児童に対する搾取や虐待が行われているという点で、憲法上の表現の自由という観点から正当化することはできません。
しかし、児童ポルノ規制には、ここで紹介した類型以外にもいくつかの類型が定められており、成人ポルノのように、表現の自由との関係が問題となることもあります。
児童ポルノ規制にあたっては、「学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由に不当に侵害しないように留意」することが明記されています。
児童ポルノを所持しているだけでも処罰の対象となる
平成26年、児童買春・児童ポルノ禁止法が改正され、法令の名称も、「児童買春、児童ポルノにかかる行為等の規制及び処罰並びに児童の保護に関する法律」に変更されました。
平成26年の改正の中で、もっとも大きな変更点は、児童ポルノの単純所持(ダウンロードして保存している場合を含みます。)が規制されたことです。
つまり、正当な事由なく、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを明らかに自己の意思に基づいて所持すると認められる場合は、それだけで処罰の対象となることになったのです。児童ポルノ単純所持により、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることになります。
児童ポルノ規制に関しては、今後も議論の蓄積が望まれる論点がたくさんあります。
例えば、児童ポルノに興奮を覚える者が社会の一部の人間であるとすれば、何をもって「性欲を興奮させ又は刺激するもの」であると判断されるのか、また、一方で、その判断基準を厳しくしてしまうと、被害児童の保護の措置を図るという要請を満たすことができるのか、などといった問題です。
今後も、表現の自由や児童の心身の保護、国際的動向等、あらゆる観点からこの法律を再考してみる必要があるでしょう。
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