食品偽装の法的問題点

食品偽装の法的問題点

食品偽装問題については、過去に、阪急阪神ホテルズを始めとしたホテルなどが、メニューに表示してある食材とは別の安価な食材を用いて客にメニューを提供していたことが発覚し、注目されてきた。では、食品偽装は、法的にはどのような問題があるのだろうか。
まず、刑法上の詐欺罪(246条1項)の成否が問題となる。今回の事案では、店舗の料理長が故意に「松坂牛」を他の安価な銘柄の牛肉と偽って客に提供し、客はその牛肉を「松坂牛」と誤信して、お金を支払っている。したがって、相手方を欺いて錯誤に陥らせて財物を交付させた、として刑法上の詐欺罪が成立しえる。しかし、刑法上の詐欺罪は個人を対象とするものであり、法人は処罰対象とされていないため、木曽路に詐欺罪は成立しえない。
次に、民法上の詐欺取消し(民法96条1項)に該当することになれば、飲食店側が料理を提供しと客がそれに対しお金を支払う飲食契約が取消され、請求すれば支払ったお金を取り戻すことができる。今回の事案では、木曽路側から一定額の返金をするとしているため、民法上訴訟提起されるおそれは低いと考えられる。
最後に、他の安価な銘柄牛を「松坂牛」と表示することが、「不当な表示の禁止」(景品表示法4条1項1号)に当たるとして、景品表示法違反に当たるおそれもある。違反の疑いがあると、立入り検査(同法9条1項)がなされ、違反行為が認められると差止・防止措置命令(同法6条)がなされることになる。
今回の事案では、偽装のあった3店舗のうちの2店舗は、食品偽装について料理長しか知らなかったとされている。このような状況において、会社側は、在庫管理をチェックするなど品質管理を徹底するほか、外部から監査することで適正なチェックをするなどの管理体制を強化して未然に食品偽装を防ぎ、消費者への安心と信頼を確保する必要がある。

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